「次女」
十一月十八日
長女のトミさんに引き続き、次女が誕生しました。
サエさん(仮名)は八十四歳。
姉御肌で面倒見がよく、冗談話好き。自立心が強くちょっぴり寂しがり屋な女性です。
不思議な巡り合わせですが、トミさんとの共通点がとても多く、
大分県出身。
息子さん家族と同居。
自分のお金を子供が管理することに不満を持っている。などなど。
そのおかげで、初日からトミさんとの会話で大盛り上がり♪
大浦家に入居しなければならなくなったことを思い出すと、
『あ~、はがいいねっ!』と、
悲しいような怒ったような表情で言うことはあるものの、
比較的穏やかに過ごし始めることが出来ました。
彼女は足が悪く、補助器具を使うことで、何とかゆっくりと歩くことが出来ます。痛みもあります。
それでも初日から姉御気質を発揮。
『兄ちゃん!私が茶碗洗うけ置いとっていいばい!』と、
夕食後の後片付けを一手に引き受けてくれました。
家ではデイサービスに行く時以外は、
ベットでずっと横になりあまり動くことがなかった彼女が、
今では毎回洗い物をしてくれます。洗濯物も畳んでくれます。
今度は、ご飯を作ってくれるそうです。
まだ夜になると、寂しくなって、
『私は捨てられた。』
『どうやったら早よ死ねるかね?』
『まだ横に居って。』と、
口にしますが、その度に、捨てられたわけじゃないこと。
ここに来たからこそ楽しく過ごせることを話し、気持ちを落ち着けます。
近々、もう行けないと思っていた、
大好きなパチンコに行く予定です。
みんな自分の家で暮らし続けたい。
でも現在の家庭環境の中で暮らし続けるには、
色々なことを犠牲にしなければいけません。
行きたくないデイサービスに行ったり、大好きな趣味を諦めたり、
食べたい物を食べられなかったり、行きたい所に行けなかったり。
そして気付いたら、一日の多くをベッドの上で過ごしている。
生きる気力が無くなっていく。
一緒に暮らしている家族も辛い。
本当はやってあげたいけどできないから。
そこまで犠牲を払って守り続けた自分の住処を変える。
ひとつでも多く、払った犠牲を取り返さなきゃ意味が無い。
これから大浦家のみんなでひとつづつ実現して、『早よ死にたい』から、
『次、これやりたい』という、
生活に変えて行こうね。
サエさん♪