皆さんこんばんは(●´∀`)ノ
あきひこです。
今月の大浦家日記も是非読んでくださいね♪
「母」
食後に車椅子に座ったままウトウト。
横になるよりも車椅子のまままどろんでいるのが気持ちいい。
そう言って食後はいつも車椅子に座ったままウトウトするのがお決まりのマコさん。
その日の夕食後もウトウト。
わたしがサエさんと茶碗洗いをしていると、
突然マコさんが車椅子から立ち上がり、少し先の床に手を伸ばし、
何かを掴もうとしています。
私は何かゴミでも拾おうとしているのかと思い、転ばないようそっと近づきます。
見ると、マコさんが伸ばした手の先には何も落ちていませんでした。
「???」
マコさんの顔を見ると、
何やらぶつぶつとつぶやきながら、
懸命に何かを掴もうとしています。耳をすましてマコさんの言葉を聞いてみます。
『○○ちゃん。そんなところで寝とったら風邪ひくよ。』
どうやらまだ夢から覚めていないようです。
私はマコさんに声をかけ起こします。
起きたマコさんに改めて話を聞くと、
まだお子さんが小さい頃の夢を見て、
『子供が床で寝とるけ、風邪ひいたらいかんと思って、
毛布を取ろうとするけど中々取れんやった。わたし寝ぼけとったんやね。』
そう言って笑います。
その他にも、本人曰く、
実際には一度も作ってあげた事のないお弁当を作る夢なんかも見る事がありました。
マコさんはもしかしたら、現実では出来なかった事を、
今、夢の中で実行しているのかもしれません。
「夢の中ではマコさんどんな感じなん?」と聞くと、
『わたしは、なんでか知らんけど今のまんま。』
「え?お子さんが小さい時の夢なのに自分は若返ってないん?」
『そうなんよ。不思議やね。』
「それじゃあ、弁当作るのも一苦労やね。」
そう言ってふたりで大笑い。
お母さんは、いつまでたっても、子供が幾つになっても、
やっぱりお母さんなんだなぁ。
「記憶」
大浦家の長男であるノブさん。
彼は以前ご紹介した通り、記憶障害があり、少し前に行った事を忘れてしまいます。
真面目でしっかり者のノブさんは、トイレや食事、自分の行った事を
出来る限りノートに書き記します。
ノブさんを見ていると、私たちが無意識に行っている、
【記憶する】という事が、人にとってどれだけ重要か。
とても考えさせられます。
ある日の朝―。
いつものようにベッドで横になり、新聞を読む。
ふいに催し、トイレへ。
部屋に戻り、いつものようにノートに時間と大小を書き込む。
『??』
今の時間は午前十時前。
それなのに今日は朝食の記載がない。
これはどういうことだ❘。
必死に朝の記憶を思い出そうとするが、やはり一向に何も思い出せない。
毎日書いているのに、今日書いていないという事は、きっと食べていないに違いない。
ここは食事も出さないのか。
何で自分はこんな所にいるのか?
少し前までは一人で何の問題もなく生活できていたのに。
もしかして自分はここに閉じ込められている?
このまま飯も与えられず、餓死させようとしているのかもしれない。
次々と恐ろしい考えが頭の中に降っては湧いてくる。
ここから逃げなければー。
これは私の憶測ですが、恐らくこの様な感情の流れが、ノブさんの中で起きているのだろうと思います。
そして、今までに二度ほど大浦家を飛び出していかれました。
捜索願を出し、私やご家族が近所を探し回るも一向に見つからず。
幸いノブさんは、昔からこの大浦近辺で生活しており、産業医科大学病院は昔から通っていて覚えていた様で、
夜中に病院で発見され無事帰ってくることができました。
ノブさんは、ご家族の意向により、外出は自由なのですが、
帰り道がわからなくなる為、ご家族に首から下げるGPSを用意してもらっています。
しかし、前述の様な心理状態の為、いつも部屋に置きっぱなしで出て行ってしまいます。
どうすればノブさんが落ち着いて
生活でき、恐ろしい考えにとらわれず、GPSを持って外出出来るのか。
結局、ご家族と相談の上、
ノブさんの部屋に、食事の時間と、外出は自由だが、その際はGPSと、
大浦家の住所と連絡先を書いた首下げプレートを持って出る様にと記載した張り紙をする事で現在は落ち着いております。
今では、しっかりとGPSを付けてひとりでお散歩やお買い物に行っております。
帰りは住所を書いたプレートを通りがかりの人に見せて、何とか帰ってきています。
面白い事に、車に乗せてもらい大浦家まで帰って来る事が何度かありました。
一体どんな風に声をかけて帰って来ているのか?
それは誰にもわかりません。
無意識に記憶する事ができる私達には、どの様な環境を作ればノブさんが不安なく、
安心してのびのびと生活できるのかは、わかりません。
まだまだ問題はありますが、ひとつひとつ、
教えてもらいながら、安心できる環境を作って行きたいと思います。
最後に。
親切にノブさんを大浦家まで案内してくれる地域の方々の暖かさに、
ただただ、感謝しております。