大浦家日記~6月号~

皆さんこんばんは(●´∀`)ノ

あきひこです。

今月はサエさんに捧げる大浦家日記です。

 

平成三十年六月十三日。

大浦家の次女である、サエさんが天国へ行きました。

享年八十五歳。

(仮名で書きたくないので、以降は「あなた」と書きます。)

あなたと初めて会ったのは、入居前の事前面談の時でした。

住み慣れた家を出て、大浦家に来る事になったあなたに、

私の事をどう説明しようかと困惑顔の息子さん。

そんな心配をよそに、あなたは嫌な顔一つせずに私を迎えてくれましたね。

あれから1年と半年が経ちました。

始めはしょっちゅうケンカしたよね。

それでもあなたは私を好いてくれて、

私の手を煩わせまいと、食後は必ず茶碗を洗ってくれました。

草むしりも好きで、こちらが心配になるほど熱中してやってくれました。

おかげで庭はいつもきれいでした。

最近作った畑に、今雑草が結構生えているから、

あなたに見つかったらきっと怒られちゃうな。

近いうちにちゃんとやるから見逃してね。

色んな所にも遊びに出かけました。

パチンコ、カラオケ、外食、ゲームセンター、神社、お花見、大衆演劇、海などなど。

全部あげたらきりがないけど、ムードメイカーのあなたがいたおかげで、

私だけでなく、大浦家の家族みんなも楽しく過ごす事が出来ました。

そういえば、去年は足をつけただけで帰ったから、

今年は海に行ったら泳ぐって言ってたね。

足が悪いから絶対無理って私は言ったけど、

「いや、泳げる!」って自信満々だったよね。

食べる事が本当に好きで、

こうやって今までの写真を見返してみると、

良い顔の写真はほとんど食べてる時のものばかりです。

思わず笑っちゃいました。

そういえば、郷土料理のだんご汁も何度か作ってくれたよね。

美味しかったなぁ。

こんなことならもう一回くらい食べとくんだったなぁ。

大浦家に新しい女性入居者やスタッフが入る度、

私をとられるんじゃないかとヤキモチを妬いてくれたよね。

嬉しい反面、毎回誤解を解くのに苦労させられました。

息子さんを出産した時のあまりの痛さに、

二度と子供は産まないと誓ったと話していたあなたが、

私の子供だったら産んでもいいと言ってくれた時は、

本当に嬉しかったなぁ。

いつも明るく陽気なあなた。

よく歌っては踊り、周りを盛り上げてくれましたね。

そんなあなたでも、

自分の家に帰れない寂しさに襲われる夜もありました。

みんなが寝静まる中、布団の中で人知れず涙を流すあなたの横に座り、

色んな話を語り合いましたよね。

本当に色んな事がありました。

こうやって思い返すと、もう何年、何十年と一緒に居たような気がします。

そう錯覚してしまうほど、

私の中にはあなたと過した日々が、

思い出が、笑顔が、怒り顔が、ふてくされ顔が、泣き顔が、

たくさん詰まっています。

それでもまだ、あなたとやりたい事、行きたい所、食べたい物がたくさんありました。

後悔をあげればキリがありません。

今、ひとつだけ怒っている事があります。

それは、今年の十月にみんなで行く予定の大分旅行の前にあなたが旅立ってしまった事。

「いつ死んでもいいけど、この旅行までは絶対元気でおる!」と、

とても楽しみにしていたのに。

あと五ヶ月だったのに。

そんな最後のささやかな楽しみを目前に、

あなたを連れて行ってしまった神様を、

どうしても許せそうにありません。

こんなこと言っちゃったら、

あなたと同じ天国に行けないかな?

それは困るので、この話は神様には内緒にしておいてね。

私の事を「あきちゃん」と呼ぶのはあなたしかいません。

あなたが私を呼ぶ声を聞き、そして応える事がもう出来ないと思うと、とても寂しいです。

入院中はしょっちゅう「あきちゃーん!」「あきちゃーん!」と呼び、

てっきり夫の名前だろうと思っていた看護士さんが私の事だと知って、びっくりしていたそうです。

おかげで病院で有名になりました。

そんなあなたの事だから、

きっと天国でも私の名を呼び、

「あれが私の彼氏よ」と、

天国にいる周りの人達に自慢気に言って、

笑って見守ってくれているのでしょう?

それなら、落ち込んでばかりもいられませんね。

私はいつでも、

あなたの自慢の「あきちゃん」でいなくちゃね。

今、入居して初めての正月にあなたが書いた書初めの事を思い出しています。

『万十くれ 多ければ多いほど よい』

饅頭が大好きで、もしあなたが死ぬような事があったら、

お棺に饅頭を入れてやるって約束してたよね?

あなたが天国に行って自宅に帰ってきた日。

早速、饅頭を買って来て、枕元に置いておいたからね。

あなたはもらうよりあげる方が好きだもんね。

周りの人にあげて、

一緒に食べながら私達の事を見ててね。

頑張るから。

大浦家に来てくれて、

私達と出会ってくれて、

心から、ありがとう。

 

最後に。

ご家族の皆様。

こんな頼りない私の、しかも聞きなれない高齢者のシェアハウスという新しい形態の大浦家に、

大切なお母さまを預けるのは、とても大変な決断だったと思います。

入居してからも、野菜やタケノコなどの差し入れをよく持ってきて下さるなど、

本当に親切にして頂き、本当にありがとうございました。

また、お辛い中、お通夜に大浦家の家族全員を暖かく迎えて下さり、

ありがとうございます。

喪主の挨拶やお会いした時に、

ご家族が言って下さった

「大浦家に来てから、良く動くようになり、笑顔も増えて、

大浦家に入って本当に良かったと思う。」

というお言葉は、

私やスタッフにとって、

これ以上ない宝物になりました。

私達は、お母さまの事を、

お母さまと過ごさせて頂いた日々を、胸に刻み、ずっと忘れません。

本当にありがとうございました。

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