皆さんこんばんは(●´∀`)ノ
あきひこです。
さぁ、平成最後の大浦家・上津役家日記です!
今月は前置きなく、とっとと行っちゃいましょう♪
では、今月も宜しくお願い致します!
「 九女 」
3月24日。
上津役家九女となるスミさんが家族の仲間入りしました。
彼女は、豪華絢爛な花よりも、
お散歩しながら道端に咲いている自然の野花を愛でる方が好きという素朴で優しい方です。
彼女は元々有料老人ホームに入居中でしたが、訳あって他の施設を探す事になりました。
その時に担当のケアマネさんから上津役家の事を聞き、
見学に来て頂く事になりました。
実は、彼女は耳がほぼ聞こえません。
見学に来た際も、身振り手振りや筆談をしながらコミュニケーションをとりました。
一通り見学を終えた彼女は、
上津役家の昔ながらの家の造りや、自然豊かな庭や畑をとても気に入り、
『こんな所で生活できたらいいね~。』と、
予想以上に良い反応。
それをを見てご家族は体験入居を決めます。
体験入居中、始めはお手伝いやお散歩などをして、
楽しそうに過ごしていたものの、
2日目から帰宅願望が出始めます。
『ここは楽しくてみんな良い人だけど、帰りたい。
息子は迎えに来んのかね?』
彼女は軽度ではありますが、認知症があります。
彼女は施設から体験にやってきていましたが、
彼女が帰りたいと言っているのは元々暮らしていた自分の家。
今現在入居している施設の事は忘れてしまっていました。
時にその想いから、涙を見せる事もありましたが、
その都度スタッフが寄添い、声を掛け、何とか1週間の体験を終える事が出来ました。
体験終了時に状態を報告する際、
ご家族のお話しでは現在入居中の施設でも帰宅願望はよく出ているとの事でした。
入居を考えるに当たり、
今後生活を穏やかに楽しむ為にどうやって帰宅願望と向き合っていくかが課題になる旨を伝え、
ご家族とスミさんは施設に帰って行きました。
そして、いよいよ上津役家へ入居。
さぁ、帰宅願望との闘いが始まる!
・・・と思いきや、何日経っても
帰宅願望が出る事は無く、穏やかに過ごしているのです。
それどころか、体験の時以上に笑顔も見られ、馴染んでいる・・・。
ご家族も私達も心配が徒労に終わり、
いったいスミさんの心境にどの様な変化があったのか全くわからず、
あっけにとられています。
人の心は移ろいやすく、
どれだけ経験を積んでもこちらの予想通りになる事はありません。
でも、だからこそ面白く、
だからこそやりがいがあります。
これからまたスミさんにも様々な変化が見られると思います。
それがスミさんにとって良い変化となる様、スタッフ一同精一杯関わり、
見守って行きたいと思います。
「 不安 」
当社のシェアハウスをとてもいい所だとほめて下さる方が沢山います。
その方々の中には、
『理想の施設』『自分が入りたい』
とまで言って下さる方もいて、
私としては本当にありがたく、とても嬉しく思っています。
しかし、万人が楽しめ、すぐに馴染み、生活できる場所など、
簡単に実現できるはずがありません。
介護施設も当社のシェアハウスも住む場所、建物、運営システムが違うだけで、
高齢者を対象にしている事に違いはありません。
そこには高齢者の生活を支える事に対する様々な問題や葛藤があり、
当社シェアハウスも例外ではありません。
傍から見ると入居者の方が自由奔放に楽しそうに生活している。
そんな風に見えるかもしれませんが、
日々、様々な問題や課題と対峙し、克服するために試行錯誤を重ねています。
これは、そんな現在進行形の課題についてのお話しです。
大浦家十一女のヤマさん。
彼女は大浦家に入居してから、覇気というか元気がなくなりました。
始めは家に帰りたいという帰宅願望から、
家に帰れない現状に気を落としているのかと思っていました。
それでも、レクレーションなどの時や日常会話、お手伝い等をしてもらう中で、
普通に笑顔はよく見られていたので、
生活に慣れて来る中で徐々に元気を取り戻してくれるかもしれない。
そんな希望をみんな抱いていました。
しかし、中々改善の兆候はみられません。
娘さんも心配して、
毎週の様に面会に来ては日帰りで自宅に連れて帰ってみるものの、
変化はありません。
私は事ある毎にじっくりヤマさんと話してみましたが、
帰りたいという反応も無く、様々な角度から聞いても、
『よくわからない。』
と言われる為、結局原因はわからず。
とにかく、大浦家だけではなく、デイの方にも協力頂き、
頻繁に声掛けし、原因探してみる事にします。
しかしそれでも原因はわかりません。
人の身体と心は繋がっています。
そうこうしている内に今度はヤマさんの身体に変化が現れます。
歩行時のふらつきはより顕著になり、
最近では腰の痛みも出てきた様で、運動能力が低下してきました。
元々、入居前にどの程度身体を動かしていたかはわかりませんが、
大浦家では散歩やお出かけ、買い物や体操やお手伝い。
デイではレクレーションはもちろんのこと、
デイのリハビリ専門の理学療法士さんからのリハビリ指導も以前と同様に受けているので、
以前と比べてもそんなに運動量が変わったとも思えません。
やはり原因は精神的な部分から来ているのか。
それとも単純に年齢的な衰えによるものなのか。
はたまたその両方か。
大浦家は簡単な声かけや短時間のお手伝いなど、
出来る範囲の事はボランティアで助け合いをする事で、
費用負担を抑えつつも内容を充実させた状態を保つ事が出来ています。
その為、毎回の確実な付きっ切りの介助を必要とする場合については、
ヘルパーでの対応をお願いしています。
それは軽微な事や毎回の確実な事でない範囲であれば、
手の空いたスタッフで対応出来る事が、
毎回となると、それを保証出来るものではない為です。
また確実に必要な事は、しっかりと責任を持った上で対応する為でもあります。
彼女も身体の動きが衰えた事で、
フラつきなどが目立ち、転倒などの危険性があり、
ヘルパーをお願いせざるを得ない状態になりました。
さらにはヘルパーを利用することにより、
デイサービスの回数も減らさざるをえなくなりました。
認知症も身体も年々衰えるのはしょうがない。
そう言われれば、そうなのかもしれません。
ただ、、なんとなく嫌な感じ。
悪いスパイラルにはまったような、
なんとも言えない嫌な感情がもやもやと胸にまとわりつき、離れません。
どんな事でも後悔はしたくありません。
とりあえず思いつく限りの事をやっていくしかないと思い、
まず大浦家でも立ち上がりや歩行訓練、
手すりを持ってのもも上げ運動などを始めました。
後は根本原因の精神的な部分をどうしていくか、、、。
実はひとつ、原因に思い当たる事があります。
彼女は得体の知れない不安感をよく感じているようで、
ヤマさんがたまに口にする言葉があります。
『私はこれからどうなるんやか?』
この言葉は、私達も時折抱くような、
将来に対しての不安とはまた少し違うのではないかと思います。
私が思うに、認知症により自分がわからない、
覚えられなくなってきている事を、無意識かもしれませんが、
感じている事から来る不安なのではないかと感じています。
認知症を自覚する方は結構いて、
その様な方々が書いた手紙や詩も幾つか読んだ事があります。
ただでさえ高齢になると不安や孤独を感じる事が多くなります。
その上、無意識だとしても自分の認知症を自覚してしまう。
それは、どんなに怖い事でしょう。
どんなに恐ろしい事でしょう。
どんなに不安な事でしょう。
私達には、とても計り知れません。
だから、もし仮に私のこの推測が正解であったとしても、
結局、解決策はわからないのです。
私達は、彼女のその不安を少しでも和らげる為に、
一体、何が出来るのでしょうか?
何をすればいいのでしょうか?
この自問自答を繰り返しながら、
諦めず、この問題に立ち向かい続けなければなりません。
「 あとがき 」
今回このお話しを書いたのは、過大でも過少でもなく、
ありのままの当社を知ってもらいたいと思ったこと。
そして1人で生活する事が困難な方、
特に認知症のある方の理想的な住まいは、
そんなに簡単には実現できるものではないという事を知り、
少しでもそのような方々の事について思いを巡らす機会を持って頂きたいと思ったからです。
人間は十人十色。
趣味や嗜好、性格も様々。
病気やその症状も様々。
もしかしたら、その全ての方々を満足させる事自体、
無理な事なのかもしれません。
でも、出来ないと思ってしまったら、
何も出来ません。
だから、今日もひとりひとりと向き合い、観察し、考え、
行動していくしかありません。
きっと実現できると信じて。





