大浦家・上津役家日記~H31.5月号~

皆さんこんばんは(●´∀`)ノ あきひこです。 
令和になってもう1ヶ月が過ぎようとしています。
上津役家では最後の家族が仲間入りし、
いよいよ定員一杯での家族生活がスタートしております。
やっぱり15人ともなると賑やかだし、
毎日色々な事が起こりますねぇ(;´Д`)
これから起こる楽しい事も、大変な事もみんなで一つずつ楽しみながら乗り越え、
少しずつそれぞれの絆を深めて行きたいと思います。
では今月もどうぞよろしくお願いします♪

「 十女 」

4月7日。 
上津役家十女となるサダさんが 家族の仲間入りしました。
彼女は負けん気が強く寂しがり屋、 明るくて責任感のあるしっかり者。
そしてとても几帳面で、お願いした仕事は丁寧にしっかりとこなします。
彼女は元々、自分の家でひとりで 暮らしていました。
認知症の症状が出る様になってからも、
デイサービスを利用しながら 何とか生活を続けていました。
が、 ある日、自宅近くで転倒するという事がありました。
周囲の助けを得て何とか大事には至りませんでしたが、
遠方に住む ご家族は今後何かあってからでは遅いと、
彼女の新たな生活の場を探す事を決断します。
ケアマネに紹介され、ご家族が見学に来て、
まだ身体が元気な彼女に とっては、
上津役家の環境が一番合うのではないかと判断されたご家族は、
すぐに1週間の体験を申し込まれました。
1週間の体験が始まり、
とまどうサダさんの面倒を積極的に買って出たのは、ヒロさんでした。
実はヒロさんも以前サダさんと同じデイサービスを利用していたらしく、
記憶の片隅にサダさんを覚えていたようです。
その甲斐もあってか、多少不安になる時もあったものの、
比較的平穏に楽しく体験の1週間を終える事が 出来ました。
ご家族の話では、体験終了日を迎え、なんと言われるだろうと内心、
心配しながら迎えに来たご家族に、 サダさんはこう言われたそうです。
『あんた何しに来たんね?』
『迎えにこんでも良かったのに。』
この言葉を聞いて、安心したご家族は上津役家へ入居する事を決めたようです。
こうして、最後の家族であるサダさんが、
上津役家の仲間入りする事になったのでした。

 「 誰そ彼症候群 」

認知症介護の現場で使われる用語に、
「黄昏症候群」又は、 「夕暮れ症候群」という言葉があります。
これは、認知症の方が黄昏時になると急に不安になったり、
落ち着かなくなってきて、
『家に帰ります。』 と言って、外に出ようとしたりする 症状の事をいいます。
一説にはカルシウム不足が原因ではないかという説もありますが、
はっきりとした原因は定かではありません。
個人的には単純に、動物で言う所の
帰巣本能の様なものかではないかと思ったりもします。
とにもかくにも認知症の方々によくみられるこの症状は、
言わずもがな上津役家の家族の面々にもよく現れます。
大浦家は入居してかなり経っている家族が多い事もあり、
現在はみられなくなっています。
例えば、サダさんは日中はとても 元気に明るく過ごしていますが、
夕食時になると不安感が強くなります。
お話しして落ち着いて一度床についても、
何度も起きてきて、
『ここはどこかね?』
『なんかようわからん。』
『なんかわからんけど寂しい。』
『息子の声が聴きたい。』などなど。 様々な不安を訴えます。
その度にスタッフはゆっくりと話を聞き、
ネガティブになっている彼女を勇気づけます。
彼女は愛情が深く、家族に迷惑は かけたくないと思っています。
スタッフはサダさんが上津役家の一員になった経緯を分かりやすく説明します。
そして、それはご家族がサダさんの事を愛しているからこそである事も
話していきます。
そうすると、いっぱいだった頭の中の不安感がじわじわと溶け出し、
安心感に変わっていきます。
そうしてやっとゆっくりと眠りに つく事が出来るのです。
他にも、アリさんは入居当初に比べかなり落ち着いてきたものの、
まだ時折帰宅願望が出て、 夕方になると、
「それじゃあ、俺も帰るけん。」と、 外に出ていく時があります。
そんな時は少しお散歩しながらお話しし、
ご家族が今日は泊まれるように荷物やお布団を持って来てくれている事
などを説明し、納得してもらいます。
以前はこれでは中々納得してもらえなかったので、
本当に少しづつではありますが、
上津役家に慣れて 来ているのではないかと思います。
つい先日もこんな事がありました。
ある日の夕方。 アリさんは帰宅願望から上津役家を飛び出します。
それを確認したスタッフは、 彼の進行方向を確かめた後、
少しおいて車で追いかけます。
そして、彼に追いつき窓を開け、
『あら、アリさん。 おでかけですか?どちらへ?』 と、声を掛けました。
するとアリさんは、
「おお!ねえちゃん!ちょっと助手席に乗せちゃらんね?」
ここまではスタッフの予想通り。
ここからが予想外でした。
『もちろんいいよー。それでどこに行きたいの?』
「みんながおる所に帰りたい。」
『え?みんながおる所って、自分の家じゃなくて?』
「うん。みんながおる所。」
-こうして無事、上津役家に戻って 来る事が出来ました。
少しづつですが、
上津役家がアリ さんにとって帰る場所になってきていると感じた瞬間でした。
さらにもうひとつ。
ヒロさんは女性には珍しい レビー小体型の認知症です。
以前もご説明しましたが、 この認知症は幻覚・妄想・幻聴などが特徴です。
入居当初に比べれば、最近はかなり症状が落ち着いて来ているのですが、
たまに顔をのぞかせる時はやっぱり夕暮れ時が多いように思います。
彼女の場合は、
「~ちゃんが来るから帰ります。」 と云うものだけでなく、
「誰々が私に何々してくる。」
「誰々は何々(悪い人)だ。」 などなど、バリエーションが豊富。
スタッフはその都度、
彼女の精神状態を察しながら手探りで正解の対応を探します。
ただ、他の方もそうですが、何か他の事をして気をそらすのが、
比較的有効の様に感じます。
ヒロさんの場合であれば、 茶碗洗いなどのお手伝いをして頂く事が出来たら、
終わる頃には気持ちが落ち着いている事が多いです。
黄昏時とは、日が落ちてきて人の顔がはっきりと分からなくなって来る
時間帯を言い、顔がよく見えないことから、
「誰ぞ彼(彼は誰?)」 という言葉から来ていると何かで読んだ事があります。
認知症の方々の場合、顔だけでなく他にも色々と分からない事がある分、
より不安が大きいのかもしれません。

「 風来トンビ 」

3月に家族になった九女のスミさん。
その後も帰宅願望が出る事無く、 お手伝いやお散歩、買い物など、
上津役家での生活にも慣れてきました。
私達にはわかりませんが、 ご家族によると、
今迄上津役家以前に2度、それぞれ別の施設に入居した時とは、
表情が全然違うのだそうです。
今迄治まる事の無かった帰宅願望は鳴りを潜め、
ストレスもあってか毎夜失禁して濡らしていた布団も、
気持ちや生活リズムが落ち着く事で、濡らす事はあまり無くなりました。
上津役家の何が彼女を落ち着かせたのかはわかりませんが、
スミさんやご家族が落ち着いて穏やかに暮らし、
笑顔や喜びの言葉を向けて頂けるようになって、
私達も本当に嬉しく 思っています。
スミさんは耳が聞こえないせいも あってか、自由奔放。
天気が良い日は毎朝庭に出て、 野花を摘んでは玄関先や部屋に飾ります。
買い物に行きたい時にはスタッフにおねだりして、連れて行ってもらい、
大好きな果物などを買います。
果物に限らずスミさんは食べる事が大好きな様で、
今までご飯を残したのを見た事がありません。
それどころか、周囲の家族か残した物までペロッと平らげてしまいます。
食事の準備中。
スタッフは彼女を警戒します。
なぜなら、みんなの食事をお皿に 盛っていると、
突然彼女がドタドタと台所へやってきて、
スタッフの目を盗んではお皿に盛っているおかずをパクパクとつまみ食いをし、
何くわぬ顔でサッと去って行ってしまうからです。
それは正に早業で、
「トンビに油揚げをさらわれる」 とはこのことか。
と、感心してしまう程。
実際につまみ食いをしている様子を目にした時は、
思わず笑ってしまいました。
そんな自由奔放なスミさん。
耳が聞こえないので、他の家族との関りが少ないのではないかと
思われるかもしれませんが、 以外にそうでもありません。
優しい彼女は、とりわけ身体が不自由な家族に気を遣い、
世話を焼いてくれるのです。
耳が聞こえないのでうまく意思疎通出来ない事は多々ありますが、
それでも彼女は気にせず、 めげずにいつも優しく接して世話を焼いてくれます。
彼女の耳が聞こえない事を知らない他の家族が声を掛けても、
彼女は気付かずにサッと立ち去って行ってしまうので、
いつもぽかんとした顔で彼女の背中を見送る事になります。
もしかしたら、そんな彼女の事を他の家族のみんなは、
風来坊の様だと思っているかも しれません。
スタッフにはトンビ、
家族からは風来坊。
さしずめ、彼女は上津役家の風来トンビと言った所でしょうか。

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