大浦家・上津役家日記~R2.11月号~

皆さんこんばんは(●´∀`)ノ あきひこです。 
今月も遅くなりましたが、 読んで頂ければ嬉しいです。

「 薬 」

高齢者の方々は、大抵薬を服用しています。 
血圧の薬、骨の薬、便秘の薬等々。 
様々な薬があり、
それぞれの薬について詳しい知識があるわけではないので、
私達介護スタッフが薬について言える事はありませんが、 
1つだけ気を付けている点があります。
それは、向精神薬の取り扱いについてです。
向精神薬とは、中枢神経系に作用し、
精神機能を変容させる薬物の総称で、
精神疾患の治療に用いられる薬物の事です。
身近なものでは睡眠導入剤などがこれに当てはまります。
あと、認知症の薬も同様です。
取り扱いと言いましたが、薬の管理という意味ではなく、
正しくは、その薬を服用するべきか否か。
それを見極めるのに、注意を払っているという意味です。
9月号で少し薬の話しを書いたので、
その慎重な姿勢がお分かりの方も いるかもしれませんが、
私自身は、認知症の方に向精神薬を使用するのに少し抵抗があります。
薬が合えばよいのですが、薬が合わなかった時、
または副作用が出た時の代償が大きいと感じる からです。
高齢者の方々は、身体や気持ちが弱り始めるとあっという間で、
1人で歩けていた人が、ひと月で歩けなくなり、
車いすになるなんて事はよくあります。
そして、向精神薬が処方されたら、
明らかな悪影響などが表面に出て こない限りは、
しばらく服用を続ける事になります。
しばらく服用しないとその効果もわからないからです。
そしてまた、服用を止めたいと思ってもすぐにはやめられなかったりします。
(※これは、私が今まで見て来た範囲での感想なので、
実際はすぐに対応してくれるお医者さんもいるのかもしれませんが・・・。)
弊社の様な入居型の施設の場合、
向精神薬を処方してもらった方が良いのかどうかを判断するのは、
日常的に身の回りの世話をしてその方の現状を一番把握している
施設側である事がほとんどだと思います。
ご家族は施設からそう言われたら、受け入れるしかありません。
つまり、この重大な選択権を持っているのは、
私達介護者側である事を、介護者は自覚し、
慎重に判断する責任があると私は思います。
だから私は、薬を使用するお願いをする場合には、
自分なりの基準が あります。
それは、『その方が、日々の生活を安心して楽しめているかどうか。』です。
私としては、認知症がどんなに進行しても、
安心して生活を楽しんで送れているのであれば、
新たに薬を服用する必要はないのではないかと思っています。
では逆に、その様な生活が送れていない場合は
すぐに薬をお願いするのかというと、そういうわけでもありません。
お願いをする前に、私達介護スタッフの声掛けや対応、
働きかけで何とか出来ないかを思いつく限り試します。
それでもダメだった時に初めて、受診をお願いする様にしています。
また、受診して薬をもらう場合、
出来る限り効き目の弱いものから処方してもらう様にお願いしています。
効き目が弱い分変化は少ないかもしれませんが、
合わなかった時の代償も少ないと思うからです。
また、この様なパターンもあります。
大浦家家族のヤマさん。
彼女は入居してから徐々に認知症の進行が見られ、
不安感からか、夜間に幻覚症状などが見られる様になりました。
また、睡眠はしっかりとれているのに、日中の傾眠が頻繁に見られ、
夢と現実の区別がつかない為か、
大きな声で怒鳴るという事が しばしば見られる様になりました。
元々の彼女はとても明るく、とても笑顔が素敵な穏やかな人です。
そんな彼女の状態の変化を受け、スタッフが私に、
『もの忘れ外来を受診して、薬を処方してもらったらどうでしょうか?』 と、
言ってきました。
先ほどの私の判断基準からいくと、
このケースの場合はご家族に受診をお願いします。
スタッフがどんな対応をしようと、
傾眠していては何の意味もなさないからです。
しかし、私はスタッフの報告内容に
何か経験した事がある様な不思議な違和感を覚え、
一旦会話をストップし、彼女の服用している薬を確認しました。
「やっぱり!」
彼女は認知症の薬を入居前から既にかかりつけの内科から処方され、
服用していたのでした。
入居時に異変が無かったので完全に見落としていました。
理由はわかりませんが、もしかしたら時が経つにつれ、
現在の彼女の状態には薬が合わなくなり、
色々な症状が出る様になったのかもしれません。
私が感じた違和感の正体は、正に、今まで見て来た向精神薬を服用し、
良くない状態になった方々の状態と彼女の状態が
似ていた事によるものだったのです。
このままの状態でもの忘れ外来を受診すると、
医師によっては今服用している薬とは別に、
追加で新たな薬を処方される可能性がある為、
より強い副作用が出てしまう恐れがあります。
 だから、受診して薬を処方してもらうのではなく、
かかりつけ医に受診して、薬を止めてもらう様にご家族にお願いしました。
そしてスタッフには、薬を止めて2ケ月程度、
彼女の状態の変化をいつも以上に注意して観察するように指示しました。
これは、まず向精神薬を服用せず、薬が抜けきって精神に与える影響を無くし、
本当の彼女のニュートラルな状態を知る為です。
ご家族には、薬を止めてしばらく様子を見た上で、
改善が見られない様であれば、もの忘れ外来の受診をお願いしていました。
結果としては、薬を止めて1ヶ月、2ヶ月経つにつれて、
徐々に日中の傾眠傾向は改善し、
併せて大声で怒鳴るという事もほどんど無くなりました。
夜間の幻覚症状は未だに見られるものの、特に酷いものではなく、
睡眠時間も十分とれている事から、ご家族と話し、
現状であればもの忘れ外来は受診しなくていいだろうという事で
落ち着いております。
あの時に、何も考えず、何も気付かず、受診をお願いしていたら、
彼女の状態はもっと酷いものに なっていたかもしれません。
薬は合えば薬ですが、合わなければ毒です。
特に向精神薬は自分の意志とは無関係に自分の精神状態を変化させます。
だからこそ、それを判断する介護者は、
向精神薬の取り扱いには充分注意を払わなければいけないと思うのです。

「 自問自答の日々 」

第三波。
一旦は落ち着きを見せていたコロナが、ここ最近また猛威を振るい始めました。
終わりの見えないこの禍に、誰もが疲弊を隠せません。
この禍に耐え切れず倒産。
この禍により精神が保てず、自殺。
警察庁の統計によると、10月ひと月だけで自殺者数が2,153人もいます。
10月だけでコロナによる死者数を超えているという事実に驚きを隠せません。
そしてもうひとつ。
この10月の自殺者数は例年に比べ、600人多いのだそう。
つまり、コロナ以前であっても、
ひと月に1,500人以上が自殺していた事実を知ってさらに驚きました。
自分の知らない所でこれほどの人達が世の中に、人生に悩み、
葛藤し、絶望して自ら命を絶った事を想うと、
自分がいかに恵まれた環境に居るかを思い知らされます。
もちろん、介護事業者も同様にこの禍の影響を受けています。
規模を縮小したり、廃業する事業所が身近でもいくつか出てきました。
最近、弊社に入社したスタッフもその禍を受けたひとり。
彼は入社前デイサービスの経営者でした。
コロナにより利用控えや解約、
更にこの状況で新規の利用者を見つけるのも難しく、
ついに、長年頑張って経営して来たデイサービスを閉じる事を決心したのだそう。
同じ介護の世界に身を置き、
利用者の方々の為に頑張ってきた彼の苦労が分かるだけに、
何とも言えない気持ちになります。
彼の創ったその場所を気持ちの拠り所にしていた利用者の方も
きっと いたでしょう。
彼だけでなく、その利用者の方にとっても辛い事だったと思います。
自分に何が出来るのか。
ただただ耐えるしかないのか。
誰かの力になる事は出来ないのか。
環境に恵まれているからこそ、誰かの為に何か出来る事があるん じゃないのか。
そんな、自問自答を繰り返す日々。
まだ答えは出ません。
それでも、考え続ける。
せめて目の前のじじばばに1回でも多く笑って貰える様に努めながら。
きっとそんなに遠くない未来に自分なりの答えを出したいと思います。